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山下洋輔「ドバラダ乱入帖」集英社
 これは伝説の「ドバラダ門」の続編もしくは創作ノートであって、しかし読んだ限りではいつもの山下節に出会えるから構える必要はない。当然元ネタとなる「ドバラダ門」を読んでおかねばならないが、そもそもこの本を読もうとする者に対して紹介は不要であり、読む心算のない者に対してはいくら紹介しても無駄であるから空しいだけだ。筒井一党の配下にあっては当然山下洋輔一連読んで然るべき。
佐々木譲「疾駆する夢」小学館
 やたら分厚い本で、存在は知っていたがずっと近寄らなかったが思い切って読んでみた。これがまた大当たり、五時間ぶっ通しで読み続けた。どう言えばよいのだろう。一言ならば「戦後の昭和史」だろうか。大戦後の焼跡からいつか自分で車を作って売りたいと夢見る主人公の軌跡を、日本の戦後の復興に被せて、昭和史、戦後史、車の歴史、生活の歴史、戦後世代の日本人の成長、戦後日本の産業政策の批判などなど、余りにも重層的な構成に圧倒されるばかりだ。
 企業の理想的な成長を描いたものと考えるとこれは現在元気のない町工場・中小企業・製造業への賛歌とも言えるし、犯しがちな失策もあるところは単なる階段小説でもないことを示している。日本の未来を見据えた小説とも感じるし、普遍的なテーマとも感じる。とにかく一筋縄ではいかない。
 社史・・・と考えるには面白過ぎる。構成が「一代で車の国際メーカーを築き上げた男の話を、娘が聞く」という形だが、聞き書きでもない。要所要所で現在が出るが、それはあくまでも過去の説明を補強する形であるし、過去の時系列は全て直線であるから、企業と主人公の成長をそのまま判り易く読める。
 凶悪な程分厚いのは、それが戦後を全て詰め込もうとしたかのような結果であるし、しかし本文は章立てというよりも、エピソードの積み重ね型であるからどこで中断しても問題はない。にも関わらず一気に読み上げてしまったのは、格別車そのものに興味がなくても惹き込まれる内容であるからだ。人物造詣がしっかりしているのは佐々木作品の特徴であるし、導入部から提示された一種のクイズが終局部までずっと引っ張る力を持っている。しかもそれは最後の最後まで判らなかったのだからこれは脱帽するほかない。
 いくら説明しても説明しきれない絶望感に襲われる罪な作品だ。中島みゆきが聞こえてくるのは御愛嬌、とにかくこれは絶対に読むべきだ。「ベルリン飛行指令」「五稜郭残党伝」と並んで「疾駆する夢」は代表三作と呼べる。魂抜けきた。東大阪で人工衛星を作っている方々には特別お奨めしたい。
スティーブン・ウォマック「火事場でブギ」ハヤカワミステリ文庫 大谷豪見訳
 原題は「TORCH TOWN BOOGIE」シリーズ二作目、前作「殴られてもブルース」もそうだったがすいすい読める。ハイセアンからどたばた色を薄くして弱気でへたれな主人公にするとウォマックになる。国内五冊よりこれ一冊の方が実りは多い。
神坂次郎「元禄御畳奉行の日記 尾張藩士の見た浮世」中公新書
 丸谷才一ほかの対談集、「近代日本の百冊を選ぶ」で挙げられていた中で、タイトルが印象に残っていたから古本屋で見付けて迷わず買った。元禄の馬鹿騒ぎを丹念に日記した何故か親近感湧く小役人の、日記から浮き彫りになる忠臣蔵と生類令の時代。忠臣蔵は当時はさほどの騒ぎとはならず、後世の作為を示している。日記を解説風に解読しながら当時の尾張風俗を活写している。噂やお笑いニュースを記録したものだから、赤新聞に近い内容で、今で言うなら私的GONだろうか。
スティーヴン・ウォマック「破れかぶれでステージ」ハヤカワミステリ文庫 大谷豪見訳
 三作目なのだが、契約が抉れたのか以降の作品は訳出されていない。続編があるのにそれは読むことが出来ないと宣言されてしまうのはとても辛い事で、主人公を取り巻く環境と人間関係が大方固まってきたところ、これからいよいよ面白くなるであろうシリーズを強制終了されてたまるものか。タイトルの「破れかぶれ」は妙に嵌っているのでよい。
原題は「WAY PAST DEAD」
松田広洲「ツガル語の謎」津軽共和国文庫
 新鮮な言葉群があった。語源考察はかなり挑戦的である。全体的に見て、結構笑える。
高島俊男「漢字語源の筋ちがい」文藝春秋
 毎度お馴染み高島俊男、今回は金田一晴彦に噛み付いております。
「笑いの錬金術 フランス・ユーモア文学傑作選」白水Uブックス 榊原晃三・竹内廸也=編
 色々名前を拾った。アンリ・デュバルノワHenri Duvernois、オーレリアン・ショルAurelien Scholl、オバルディアなどなど。短編アンソロジィであるから種を割っていられない。四十篇収録の小刻みな黒い笑いが漣の如く広がる。冬に読む本として相応しい。このシリーズは国毎に幾つかあるようだから探してみる。※ところが以前読んだことがあるシリーズであった。活中にはよくある話だ。
ヴァージニア・ラニア 「追跡犬ブラッドハウンド(上下)」 ハヤカワミステリ文庫 坂口玲子訳
 アメリカ南部を舞台に追跡犬を訓練して実戦もこなす三十歳前の肩を精一杯張って生きるいい女の災難物語。著者の履歴にばかり意識がゆくのは仕方がなくても、一度読み始めるとその抜群の構成力に平伏す。確かに痛みを感じて生きてきたことを伺わせる雰囲気があるのだが、それを打ち払って余りある主人公の強がり口と行動力に惹かれる。各章の閉じ方が凄く効果を上げている。ラストは少し何だが欠点と呼べるほどのものではないから、読む価値はある。
 原題は「DEATH IN BLOODHOUND RED」


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