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吉野朔美「お母さんは『赤毛のアン』が大好き」本の雑誌社
 この辺の連載はリアルタイムで読んでいたが、当然別の雑誌よりも収録してあり、また書き下ろしもあり、本好きにはたまらない漫画として、このシリーズ読んでいないのはあと一冊。再読に耐えうる情報源として、手元に置いておきたい本なのだ。
ボブ・グリーン「晩秋のシカゴ ミシガン大通りから」集英社
 知らない人は知らなくていい。
ボブ・グリーン「アメリカン・スタイル」集英社 菊谷匡祐訳
 読む順番が前後してしまったことが悔しいが、面白いからよい。
ウォーレン・マーフィ「伯爵夫人のジルバ」ハヤカワミステリ文庫 田村義進訳
 結構出ているシリーズで順番に読むことが出来なくて辛いのだが仕方ない。これはトレースシリーズ第二作にあたる。
 このシリーズの大いなる特徴は主人公である探偵トレースのテレコ日誌にある。素敵に皮肉で抱腹絶倒とにかく楽しい。当然テレコ日誌に限らず全文与太と気の利いた切り返しが満載で文字通り時間を忘れて読み耽ることになる。そうかおふくろ騒ぎとはこれだったか。実に満足であった。
ウォーレン・マーフィ「豚は太るか死ぬしかない」ハヤカワミステリ文庫 田村義進訳
 訳者後書でもどこまで真面目なのかが判らない。勢いで一気にシリーズ制覇してしまった方がよいだろう。順番の前後がとても悲しいが気軽に読めるのはありがたい。この作品は気付けば手元に二冊あった。段取りが悪い。
スティーヴン・ヤング(薄井ゆうじ訳)「本の虫」アートン
 まあこの作者はフラナガンなのだが、もっと徹底すればより面白くなったことだろう。日本を中心の記述だから限界があって、多過ぎるヒントに多少の飽きもくる。思い切りが足りないのだろうか、折角の設定を活かしきれていないのが残念でもある。
 アオキマリコ現象を押し込むならばもっと控えめに「日本で報告された」とするべきだったように思える。
 参考文献は大して面白くないが、索引がしっかりしているのは素晴らしい。
 全体的に「勿体無い」の一言なのだ。形式は陳腐ではあるが、「本の虫」という切口の秀逸さが補って余りあるから、これは丹念に日本色を漉して本格的な遊書にすべきだろう。系統樹や分類は今のままでよいし、スタイルも問題ない。ただ、「翻訳」ならば翻訳らしさを徹底してほしかった。フラナガンは日本をテーマにしたから成功したのだが、ヤングの報告ならば日本だけを拡大照射するには無理があるのだ。
 大幅に改稿されたものが読みたい。活字中毒者ならば十分笑える本なのだが、これを読んだ者ならば、「もっと面白く出来る筈だから、そうしてくれ」と願わずにはいられない。
G・ガルシア・マルケス「戒厳令下チリ潜入記 ある映画監督の冒険」岩波新書 後藤政子訳
 マルケスの珍しいルポタージュ風ドキュメンタリー、聞き書きでありながら迫真のノンフィクションとして仕上げている。選挙で選出されたアジェンデが軍部のクーデターにより倒れた後に始まった左翼弾圧の中で辛うじて亡命に成功した映画監督のミゲル・リティンの、戒厳令下のチリへ、発覚すると即時に逮捕される亡命者の偽装入国の顛末を、リティンのインタビューを元にマルケスが構成した物の翻訳である。
 元々はドキュメンタリー映画を撮影する為に戒厳令下のチリに潜入したのであって、この本はその副産物なのだが、やがて編集した六時間に及ぶTV用フィルムと映画フィルムに加え、これを含めてチリ報告は完成するとマルケスは言う。
 変装し、偽名のパスポートを使って軍部独裁十二年目のチリに潜入して様々な再会と亡命前の思い出と現状、そして辛くも脱出して再び再入国して撮影を続けた冒険譚を、マルケスの研ぎ澄まされた文章で再構成されたこの作品はスパイ小説を地で行く迫力で、ノンフィクションであるからたちまち引き摺り込まれる。マルケスだからと警戒することはない。非常に判り易い文章だ。
 チリの政治状況について、チリに限らず南米の政治状況について、南米に限らず国外の政治状況について、国外に限らず日本の政治状況についてさえ無関心である者に対してこの本を薦めることは出来ないが、マルケスを読む者ならば、このような作品があることは知っていてもよい。
 この映画は「ACTA GENERAL DE CHILE(チリに関する全記録)邦題:戒厳令下チリ潜入記」として公開された。スラム街の実態、武装ゲリラ幹部との地下会見、さらに大統領府の「モネーダ宮殿」の内部も撮影されている。現在見ることはほぼ不可能に近いようだから、スペイン語を勉強するか深夜に吹き替えでもやっていないかと探すぐらいしかない。
ボブ・グリーン「シボレー・サマー」TBSブリタニカ 桜内篤子訳
 文句は読んでから言え。
藤原伊織「雪が降る」講談社文庫
 人生の断片を切り取った短編集、表題に選ぶだけあって「雪が降る」が一番沁みる。ワープとパラソルの間に位置付けられるこの短編集は解説から読んではならない。黒川博行の解説は感想に近いので、読み終えてから自分の感想と付き合わせればよい。
谷崎潤一郎「陰翳礼讃」中公文庫
 皆が皆挙って褒めているとかえって読む気が失せるもので、しかし皆が皆褒めるならそれほどの物なのだろうと考えつつも、余程のことがない限り読む機会は訪れない。
 つまり、たまたま時間があって、しかし読む本がなくて、そこに古本屋があって、百円棚にでも打ち捨てられた中に目ぼしい物がなく、仕方がないからそれを手にとってみる、という針の穴を通すが如き確率で読む機会がやってくる場合がある。そういう立場で待機させている本がかなりある。
 結果?当然手前も挙って褒める一人になりました。
古川薫「毛利元就とその時代」文春文庫
 古川薫の名は「覇道の鷲」で知り、以来気になってはいたが、直木賞を獲っているのに何しろ扱う題材が地元山口を中心とした時代物が多いせいで好みの分かれる作家なのだが、時代物、戦国物、幕末物が好きな方なら欠かすことは出来ない。
 この本はあちこちに書いた毛利元就についての文章を元就の時系列に沿って並べ替えて結合・省略など大幅な改稿を施したものであるが、それでも前後の都合上重複は避けられないのだが、それでも読み通せば毛利元就とその周辺についての理解が一気に進むだろう。
村松友視「鰻の瞬き」小学館
 「視」の字は「示見」だが出ないから仕方がない。電網では使われていない字であることに密やかな誇りを抱いているだろうことは想像出来るが苦労する人も中にはいる筈だ。
 還暦を迎えて速歩に嵌った結果、速歩をしているようには見られたくないから、行きは葉書を帰りは無人販売所の野菜を手に日々勤しんでいる時に浮かぶ由無事を綴ったもので、やはり随品と呼びたくなる天晴な文章に何時の間にか引き込まれている。意識したポーズとその中に一点のどたばたを組み込んだ片口が緩む文体につい時間を忘れてしまうのだ。連載していた雑誌が潰れて十三編で一冊となったが内容に不足はない。ただ別媒体で続きを書かないのかなと考えたくなる。
 私小説と随品の名手であるところ、洒落たポーズを気取っているつもりでどたばたを見せてそれも実はポーズでその影にあるダンディズムの先にまたお笑いの色があるそのまた向こうにニヒルが隠されていて、どこまでも掴みどころのない魅力に釣り込まれるともう後には引けなくなる。
 表題の、鰻は瞬きをするや否やは読んで確かめられたい。
ローレンス・ブロック「泥棒はクロゼットの中」ハヤカワポケットミステリ 田口俊樹訳
 泥棒が探偵役のミステリである為には必然性がなければならないが、無実の罪を着せられそうになる状態ならありふれてはいても効果的であるから構成に無理はない。宝石を盗み出してくれと依頼されて忍び込んだが一瞬の油断で部屋の主が帰ってきて、クロゼットの中に閉じ込められてしまう。そして部屋の主は殺されるのだが、犯人が誰か判らないまま殺人の容疑がかかって真犯人を追い求めることになる。推理物であるからこれ以上の説明は不可能だ。
 帯に週刊朝日の書評が引用されていて、誰の文か知らないが、そこにデモン・ラニアンと似ているらしいから、今後デモン・ラニアンなる作家を探すことになる。試しに検索してみると「デイモン・ラニアン」で見つけた。綴りは「Damon Runyon」1884-1946アメリカの人。短編作家のようだ。アンソロジーに紛れ込んでいるかもしれない。それにしても「世界一のお尋ねもの」「義理の固い男」 「やくざなロマンス」「約束不履行」 「世にも物騒な男」「おい、しゃべらない気か!」 惹かれるタイトルの多いこと。
古田武彦「失われた九州王朝」角川文庫
 これもまた順の前後によって後悔しきりなのだが、今現在絶版により入手困難であるが故に泣き言は不要だ。
 まことにめい明晰な論理をもって読者を知的格闘へ誘う罪な本だ。
 古代元号の謎も仮説を立ててあるから妙に楽しかった。
赤江瀑「巨門星」文春文庫
 続きが読みたい。じっと待つだけ。タイトルの読みは「きょもんせい」かと思いきや、作中に「こもんじょう」とあった。時代が時代やもんな。菅原道真の誕生から青年時代までのお話。
古川薫「きらめき侍」新潮文庫
 いいテンポで読める。小笠原流作法を噛ませた時代小説とは渋いところだが、のびのびとした文体の雰囲気からは、のびのびと書いたのだなと感じる。


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