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佐野洋子「がんばりません」新潮文庫
 この人のエッセイは素晴らしく面白い。肩書きは童話・絵本作家であり、そちらの方はよく知らないのだが、この人の文章は実に味がある。面白すぎる。爆笑を保証する。見たら買え。立ち読みするには勿体無い。新刊で買っても元が取れる程笑える。久々に来た大ヒット。今まで知らなかったことが恥ずかしい。
佐野洋子「ふつうがえらい」マガジンハウス
佐野洋子「あれも嫌い これも好き」朝日新聞社
 先の「がんばりません」で衝撃を受けたので続けて読んだら、たたらをふんでしまった。期待が大き過ぎたのだ。「がんばりません」の雰囲気を勝手に期待していたものだから、破壊力がなく思えてしまった。当然これは読者の勝手な言い分であって、書き手からすれば傍迷惑な思い込みであるから排するべき考え方なのだが、少し体感速度が遅く感じたことは隠すべきではないだろう。
 一話一話が小さく綺麗に纏まっていて、それを締切に追われた焦りと見るべきか円熟と見るべきなのか判らないが、「がんばりません」の奔放な文章がこの二冊では抑え気味である。当然十分笑えるので、これは単に読む順番を間違えただけなのかもしれない。もう少し呼んでみる必要がある。
ローレンス・ブロック「泥棒は選べない」ハヤカワミステリ文庫
 泥棒シリーズの第一作。無闇滅法面白い。ミステリであるから内容は伝えられず、しかし同時に魅力も伝えられず。読むしかない。 明石昇二郎「責任者出てこい!」毎日新聞社
 この題に惑わされてはいけない。中身は剛速球の超硬派だ。よくこの内容のものを新聞社系から出せたものだと感心する。どう考えても宝島社向きの本なのだが。知っておいた方がよいことの行列だ。
米原万里「ロシアは今日も荒れ模様」日本経済新聞社
 ゴルバチョフ、エリツィンの身辺話が楽しい。通訳として守秘義務があってもいつのまにか皆が知っている事柄ならば言ってもよかろうという趣旨のもと、酒好きロシア人の生態やロシアンジョークが満載である。残念ながらロシアンジョークは大抵知っているものばかりであったが、これは引用元の本を読んでいたりしたこっちも半分責任がある。
 そういえば酔っ払ったエリツィンがオーケストラの指揮台に無理矢理登って指揮を始めた姿を覚えているか。あの時押し出されて困惑しながらエリツィンの横で小さく棒を振っていた識者は今どうしているんだろうかね。そんなことを思ったり思わされたり、普段読書をしない人でも楽しめるだろう本だ。
ハリイ・ケメルマン「九マイルは遠すぎる」ハヤカワミステリ文庫 永井淳・深町真理子訳
 安楽椅子探偵の短編集。一般に推理小説は一度読んでしまえば仕掛けが割れて再び読む気は起こらなくなるものだが、ごく稀に何度読んでも面白い推理小説も存在する。それは登場人物がやけに魅力的であったり、読み返す度に新たなる発見があるように書かれていたり、交わされる遣り取りに惚れ込んだりなどの理由によるが、この「九マイルは遠すぎる」の場合は、その切れ味が最大の特徴だ。
 誰の紹介だったか、確か丸谷才一だと思うのだが、べた褒めしていたからタイトルだげが頭に残っていて、見つけて読んで驚いた。凄い。
 表題作は風桶式の論理展開で、それが無理なくがっちり構成されているから感心しきりである。何しろ全く先が読めないのだ。
 昨今の本格推理はいたずらにややこしくするだけややこしくして探偵役だけが納得して解決したふうを装って読者を置き去りにする。作者も納得したつもりなのだろうがついてゆける者は少ない。
 この作品には続編がなく、別に長編があるらしいからケメルマン、今後探すことになる。
 これから夜が長い時、短編をひとつひとつ読むといい。途中で邪魔が入らないよう環境を整えて、熱い酒を片手にじっくり取り組むのは至上の喜びだろう。
吉野朔美「お父さんは時代小説が大好き」「弟の家には本棚がない」本の雑誌社
 タイトルには吉野朔美劇場とある。時代小説にはチャンバラとルビが振ってある。装丁は多田進である。装丁は品が良い。ま、これはあれこれ言ってもしょうがない、活字中毒者であれを読んでいる人なら判るし、判らない人にはあまり教えたくない本なのだ。連載を纏めたものであるが、書き下ろしのカラーページがとてもいい。本を読まない人には絶好のブックガイドになるだろうが、勿体無い。活字中毒者としても有用なガイドでメモ多数である。
 「穴掘り男爵」が読みたくてたまらない。どうしてくれるんだ。作者の名前、ミック・ジャクソン、本人は何も悪くないが気になってしょうがない。
 残りの物も探すことになる。
丸谷才一・木村尚三郎・山崎正和 「固い本 やわらかい本」文藝春秋
 「鼎談書評」と副題にある。全体的に見方が厳しいのは本格的な批評をしているからであって、「ここのところをもう少し掘り下げて欲しかった」という見方が実に参考になる。三人であれこれ話しながらであるから、途中疲れそうになったところでひょいと軽口が出る。読み手が丁度疲れるあたりを狙ったこの呼吸が絶妙で、最後まで挫けず読み通す事が出来る。
 挙げられた本は三十六冊、メモ多数。
目黒考二「笹塚日記」本の雑誌社
 見事な笹塚ガイドになっている。単行本化により丁度読み易い大きさの字になった。噂の眞相休刊カウントダウンの中、本の雑誌はいつまでも続いて欲しいものだ。 山本夏彦「良心的」文藝春秋
 写真コラムシリーズの一冊。あと絶版になったらしき三冊に一で、更なる二冊のタイトルが「やぶから棒」と「美しければそれでよし」だと判明、捜索中。夏彦に御託は不要。詠めば判る。
丸谷才一・山崎正和「半日の客 一夜の友」文藝春秋
 この二人を中心とした対談は百本以上あるらしく、探しては読んでいる最中で、単なる雑談ではなく中身の濃い批評的対談であるから、読み応えがあるのだ。 丸谷才一・山崎正和「日本の町」文藝春秋
 金沢・小樽・宇和島・長崎・西宮芦屋・弘前・松江・東京の各歴史案内、地理案内、観光案内になっている。この対談の発表媒体からすればそうなるのだろうが、それでいて町の批評も行っているから見事なものだ。
 芦屋だけには縁がない。
丸谷才一「大いに盛り上がる 丸谷才一対談集」立風書房
 対談集。熱烈なベイスターズファンである氏が同病の山下洋輔・横澤彪と対談する一章、思い入れが強すぎる余りか平衡感覚を失ったどたばた爆笑対談になっている。ここには批評から離れて心底楽しんでいる会話が収録されている。
 ベイスターズファンの忍従ぶりにはタイガースファンと一脈通ずるところがあるのだが、少し前までのベイスターズ対戦情報の入手方法、「他球団の対戦中に一瞬流れる他球場途中経過の情報をひたすら待つ」という戒厳令下の苦しみは理解出来ないところであった。MBSが株式を取得して放送されるようになるとへなへなと負け続けるあたりは心配になる。「二・三点のリードをすると球場全体に拡がる不安」「いつ崩れるかをじっと待っている」これは実によく判る。  他の対談相手は大江健三郎、井上ひさし、半藤一利、山田詠美、大野晋、池宮彰一郎、筒井康隆、三浦雅士、中村勘九郎、中丸三千繪、飯田博。四人知らない。
 全体の構成が上手いから読んでいるうちに勢いがついてきて一気に読み上げてしまう。またインタビューも挟まっている。丸谷才一を追う者は読んでおくべきだ。


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