このサイトはスタイルシート対応サイトです
閑雲野鶴 案内板 更新情報 メルマガ 雲と連絡 鶴の骨格 鶴の足跡 資料室 亡国遊戯 がらくた リンク集
近道:検索 地図 メルマガ最新 読書録 掲示版 Google
現在地〓 閑雲野鶴鶴の骨格 >国外十撰

読書録最新
読書録過去
国内十撰
国外十撰
筒井康隆
SAKI


 オールタイムベストテン・国外篇です。ただし、全ての作者は「外れなし」を基準にしております。外れなし作家を十人無理矢理に選び、それぞれの最も面白い作品を合わせて十作。偏りがありすぎることは承知の上です。それほどの自信はありませんが、お勧めします。

ジェローム・K・ジェローム「ボートの三人男」中公文庫 丸谷才一訳
 ずっと探していて、図書館でもなかなか備えておらず、長期戦を覚悟した矢先、古本屋の百円のワゴンにいた。飛びついて早速読んだら爆笑爆笑また爆笑。これは何と言おうと全力でお勧めだ。見つけたら問答無用ですくざま買うべし。読むべし。絶対に失望はさせない。とにかく面白すぎる。ウェストレイクを遥かに上回る騒ぎだ。一人称「ぼく」をこんなに見事に処理しているものを読んだのは初めてかもしれない。あああ、何を言っても全て無駄な気がする。とにかく読め。読め。読め。話はそれからだ。ジェローム、他にないのか。我がオールタイムベストに変動が起きたぞ。
ポール・リンゼイ「目撃」講談社文庫
 現職FBI捜査官が書いた小説として話題になった作品。これを読んで翻訳小説に引き込まれたのだから自分にとっては忘れられない一作になっている。ここに出てくるのはヒーローではない。組織の中の落ちこぼれ、非主流派だ。ダーティー・ハリーのような荒唐無稽さもなく、迷路の中を行きつ戻りつしながら粘り強く事件の核心に迫っていく描写は確かに現職捜査官にしか書けないものだ。いかにもありがちなハッピーエンドではないところも素晴しい。何度読み返しても飽きない傑作として推薦する。
「ホット・ロック」D・E・ウェストレイク 角川文庫
 スラプスティックの大家、ウィストレイクのどの作品にしようか迷ったものの甲乙付け難く取り敢えずドートマンダー第一作にしました。悪党パーカーシリーズがハヤカワから少しずつ復刊されていよいよ楽しくなってきました。ウェストレイクの珍しい短編がアンソロジーホラー短編集に入っていることを御存じですか。暖炉の火を見つめて「何か話をして下さい」から始まる秀逸な肩透かし。一度探して御覧なさい。
カール・ハイセアン「珍獣遊園地」角川文庫
 スラプスティックの王道ハイセアン。ほとんどが映画化されているので日本では本読み以外あまり知られていない。この人の書く小説の魅力は何と言ってもその世界観にある。手塚治虫の世界観に近い。そしてメリハリの効いた登場人物達の入り乱れ方と風呂敷を畳むようなラスト。畳んであった風呂敷を広げるだけ広げて最後にそのままほったらかして逃げる作家は許せないのですが、ハイセアンは違う。きちんと最後に畳み込むのだ。また善人がほとんど出てこないにもかかわらずこんなに引き込まれるのは一言「技」というしかない。
R・ハーマン・Jr「第45航空団」新潮文庫
 T・E・クルーズかJ・J・ナンスか翻訳航空小説で優秀なものは数多くあり、迷うのは最初からわかっていたので、ご都合主義を排して一番人間の描けているこれを選んだ。ご都合主義とハッピーエンドが嫌いで、なぜならばそれはリアリティの欠如に通じるからである。抑制の効いた筆致で迫力のある文章を淡々と並べるこの人の小説は何度読み返しても飽きない。出版点数が少ないのが辛いが、あれだけの内容ならば仕方ない。量より質なのだ。
R・ルチアーノ「アンパイアの逆襲」文春文庫
 翻訳エッセイである。ドタバタエッセイでもある。しかも絶版である。古本屋で見つけたら即買うべき逸品である。メジャーリーグのアンパイアを経験した現解説者のロン・ルチアーノのメジャーリーガーとの戦いの日々を書いたもので時代は少し古いのだが、野球を知らなくても爆笑できる。エモやんの「プロ野球を10倍楽しく見る方法」より極度に洗練されたものである。何度読み返したか知らない。人に貸すのが勿体なくて今まで誰にも話したことがない隠し玉。しかし他に情報がなく、他の著作があるか、翻訳の話があるのかは不明。あるならハードカバーの新刊でも買う。
ゲーテ「ゲーテ格言集」新潮文庫
 旅に持ってゆく本の条件として軽くて飽きないことが挙げられる。軽いというのは内容もそうだが、物理的に「その本自体の重量がさほどではない」という意味にウェイトが置かれている。この本は実際何処でも売っているのでカバーや挟み込んであるチラシしおりを捨ててポケットに突っ込んでおけばそれだけで無駄な時間を過ごすことがなくなる。新潮文庫だからしおりヒモがついているし、格言集だから一度読んだらそれでおしまいというわけにもいかない。自然に繰り返し読むことになりいつしか止まらなくなる。しまいにはこの本を読むために旅に出る始末だ。
トニー・ケンリック「スカイジャック」角川文庫
 スラプスティックの主流ケンリック。しかし途中でシリアス路線に変更して寂しい気もする。「ふすまパンのサンドイッチ」これで笑えるならあなたは仲間だ。日本には良質のスラプスティックが少なくてどうしても翻訳物に頼ることになる。しかも古い作品で充足させなければならない。古くても充足させられるのはしっかりした内容であるからだが、まるで色褪せずに今もなおしっかり楽しめるのは現代作家の怠慢でもあると思う。
S・L・トンプスン「A−10奪還チーム出動せよ」新潮文庫
 景山民夫が「虎口からの脱出」を書くきっかけとなった作品。シリーズは第四作まであり、第四作では趣向が少し違っている。それ以降噂を聞かないと思っていたらいつのまにか誰かと共作したものが翻訳されている。それをまだ読んでいないのでなんとも言えないが、トンプスンがまた読めるのは嬉しいことだ。
ベルトラン「夜のガスパール」岩波文庫
 「朝のガスパール」「夜のコント・冬のコント」など筒井康隆のタイトルの源流はここにあったりする。ちなみに「朝のコント」を書いたのはフィリップである。「夜のガスパール氏を御存じですか」「夜のガスパール氏は何処にいるのですか」「夜のガスパール氏が地獄にいるならば・・・」筒井康隆を読んでいた良かったと思うのは古典からの引用が豊富なため、古典への入口となっていることもひとつだ。また、たまたま読んだ古典で「あっこれが元ねたか」と叫ぶ度にブーメランのように筒井康隆に戻ってゆく。幸せなことだ。


Copyright 2002-2004 鶴弥兼成TURUYA KENSEY. All rights reserved. Never reproduce or republicate without written permission. 著作権について リンクについて 管理人にメール お気に入りに追加

[★高収入が可能!WEBデザインのプロになってみない?! Click Here! 自宅で仕事がしたい人必見! Click Here!]
[ CGIレンタルサービス | 100MBの無料HPスペース | 検索エンジン登録代行サービス ]
[ 初心者でも安心なレンタルサーバー。50MBで250円から。CGI・SSI・PHPが使えます。 ]


FC2 キャッシング 出会い 無料アクセス解析