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椿象
蟻地獄

写真解説


生命の歌を聞かせておくれ

それが挽歌であろうとも

椿象 03/03/26

 「椿象」これが読めるだろうか。

 実はある辞典を読んでいて、「○○」の漢字表記がこれであることに驚いた。何故だ。いろいろ調べてみたところ、どうやら漢名であるようだ。

 さて、これは何か。

1 まず、生物である。無機物ではないし、無生物でもない。
2 必ず、その名を知っている。普通に生きていれば見たことがある。
  3 植物ではない。「椿」の字があるから誘導されてしまいそうだが、植物ではない。植物ではない生物。
4 動物でもない。少なくとも哺乳類ではないし鳥類でもない。「象」の字があるが、実際はかなり小さい。植物でも動物でもない生物とは。
5 昆虫である。小さい昆虫で必ずその名を知っていて、見たことがある筈だ。
6 嫌われている。極端に嫌われている。手前も嫌いだ。
7 時として大量発生する。一匹でも存在感は凄い。人間は多分勝てない。
8 種類がとても多い。しかしよく見る奴は二・三種類。
9 臭い。 10 有効兵器はガムテープ。

 わかりますか。わかりますね。「くわめむし」何故こいつが「椿象」などという優美な名を付けられているのか知らないが、許せないと思わないか?

 いつもの見慣れた白い壁が、なんとなく模様というか、汚れている。近付いて見てみると「亀虫亀虫亀虫亀虫亀虫亀虫亀虫亀虫亀虫亀虫亀虫亀虫亀虫亀虫亀虫亀虫」怖気立つ。肩についている。爪で弾く。どうしても爪の臭いを嗅ぎたくなる悲しき本能。「ぐげへ」止まらない涙に咽せる喉。慌てて壁で爪鑢。

椿象−ちんぞう

 貴様、亀虫の分際で。何が「椿」だ。何が「象」だ。貴様、亀虫の分際で。それ以上傍若無人に振舞ったなら纏めて摺潰して化学兵器としてイラクへ送り込むぞこの虫螻野郎が。貴様、亀虫の分際で。たった一匹なのに閉じ込められた電車の中に大混乱を巻き起こしやがって。貴様、亀虫の分際で。勝手に溺れるならそれでもいいがついでにグッピーを全滅させやがって。あの生殖力生命力のあるグッピーを。貴様、亀虫の分際で。天道虫と似た形して何も知らない子供を恐怖のどん底に陥れやがって。貴様、亀虫の分際で。子供だったからつい鼻糞ほじって爆臭が脳天に突き抜けたんだぞ。貴様、亀虫の分際で。あの時は泣きながら家まで走ったんだぞ。貴様、亀虫の分際で。手を揉むようにして洗ったら臭いが両手の平に広がったんだぞ、貴様、亀虫の分際で。手がふやけるまで石鹸を付けて繰り返し洗ったんだぞ。貴様、亀虫の分際で。俺は一生許さんぞ。

食虫植物に亀虫を放り込んだらどうなるのか実験した奴はいないのか?


蟻地獄 03/06/08

 蟻地獄という昆虫がいる。

 擂鉢状の巣に落ちてきて、登って逃げることが出来ない蟻の体液を吸い、二年か三年そのまま幼虫で過ごして夏に羽化し、薄羽蜉蝣として二・三日の命を燃やす。

 巣、砂で出来た擂鉢は蟻が登ろうとしてもすぐに崩れて転がり落ちることになる。何度も転がり落ちては再び登ろうとする蟻の奮闘は何度眺めていても飽きることがない。

 その蟻地獄が見つからなければ自分で擂鉢を作ってみる。目につく範囲で一番細かい砂を集めて直径およそ十センチほどの円錐形に盛り上げ、頂上から真下に指を一本突き下ろす。少しぐりぐりさせるとカルデラ状になる。人造蟻地獄の完成だ。巣ではないから底に蟻地獄はいないが、蟻地獄に食われるところを見たいのではなくて、登ろうとしては転げ落ちる蟻を見たいだけなのでこれで十分だ。その辺を歩いているその瞬間最も運の悪い蟻を人差指と親指の腹で潰してしまわずしかも逃げられないような微妙な力加減でつまんで放り込む。細かい砂であればあるほど、擂鉢が大きければ大きいほど脱出は困難になるのだが、目の粗い砂の場合あっさり登ってしまうことがある。それならとより難易度の高いであろう蟻地獄を再び作って、さっきの奴かどうか知らないが近くをうろついていた蟻を放り込む。登っても登っても途中で崩れる。

 ひねた性格というよりも単純に蟻地獄の原理に感心しているだけなのだが、傍から見るとただのサディストだ。しかしこれは魅入られてしまうのであって、蟻を応援しているか、擂鉢の完成度にうっとりするか、あるいはその両方であるから、蟻地獄を眺めている人を残忍な性格であると断定するのは早計だ。

 擂鉢を作る蟻地獄は実は少数派であるらしい。擂鉢を作らない種の幼虫でも蟻地獄と呼ばれるあたり、研究者にとってはさぞや複雑な気分であろう。もともと擂鉢を作らない種から進化して擂鉢を作る種が現れたわけだが、いきなり擂鉢状になったわけではないだろうからその過渡期にあたる種、ミッシングリンクに相当する種がいる筈で、しかしそれは未だ発見されていない。

 発見されていない理由としては効率が悪くてやめたかあっさり滅んでしまったかして、進化して擂鉢を作る種と擂鉢を作る方向には進化しなかった種だけが今残っていると考えられる。しかし完全に不在を証明できないから研究する余地がある。

 オーストラリアにいる珍種として、巣である擂鉢が星型をしている。中央に擂鉢があり、四方八方に溝を伸ばして中央の擂鉢に導く。この溝が星とも車輪とも形容され、オーストラリアにしかいないものとして暑い眼差しを浴びているのだ。

 ところでひとつの疑問があるのだ。

 通常蟻地獄は砂の上を歩かずすぐに潜ってしまうので自然にはあり得ない状況なのだが、仮に「三齢幼虫の擂鉢に一齢幼虫を突き落とすと、どんな騒ぎになるのか」

 何齢かは問わずとも、蟻地獄の巣に別の蟻地獄を突き落とした場合、どうなるのかと不思議に思うのだ。考えられるのは

1 落ちてきたら問答無用で体液を吸う。
2 喧嘩するが、種の保存本能が働いて相手を殺すまでいかず、弱いほうは退散する。勝ったらそのままそこに居座る?
3 途中で砂に潜って擂鉢を作り始める。砂の投げあいになって負けたほうは退散する。
4 落ちない。踏ん張って登ってしまう。
5 なにか途方もない騒ぎが持ち上がる。

 どないですやろか。

※1だそうです。


蚊 04/02/12

 「蚊をコピーしたことありますか?」

 同僚社員が皆帰った後、自分の尻を複写したことが発覚し、解雇された女性社員のことを書いたボブ・グリーンのコラムを思い出した。あれは確か原因は明らかに尻だが解雇理由をはっきり述べず、困惑している会社側と、反省している女性を淡々と描いた爆笑コラムであった。

 何故かその情景がはっきり想像出来た。通常複写機の置いてあるオフィスならばある程度空調設備が整っている筈で、だから蚊は存在し得ないわけだが、蚊の活発な夏に、あるいは秋に、空調設備の使用禁止措置が取られる職場であれば、窓が開かれる。そうでなくとも人を追ってエレベーターに乗って来てしまう蚊もいる。トイレの窓から侵入する蚊だっている。外ならそれほど高く飛べない蚊なのに、何故か高層ビルの中に居ることもある。

 そうした居る筈のない所に居た蚊が叩き潰されて、ごみ箱に捨てられるべきところを、誰かの遊び心で複写機のガラスの上にそっと置かれていたり、偶然何かの書類に張り付き、知らないまま複写してしまった場合、普段の会話ではあり得ない程丁寧極まる格式ばった文章の上に、あられもない姿の蚊が写りこんでいるわけだ。そういうことですよね。

 「そうです。いつの間にか書類に張り付いていたんですが、気付かなくて・・・そのあと取引先にそのままFAXで送ってしまって・・・」

 蚊をファクシミリで送ったことがありますか?コピーしたことなら、その場の遊びで済むし、少しの笑いで雰囲気が潤う。しかしファクシミリで送ることは、送信先が洒落を理解してくれる場合を除いて、予告もなしに完全に仕事の文書として送信する書類に蚊が張り付いたままだったら、これは厳しい状況ですね。

「蚊はね。コピーしても汚れには見えないんです。足が細いでしょ。でも細くてもしっかりコピーされて一目で明らかに蚊だと判るんです」
 送信前に点検しませんでしたか。
「点検というのはどうしても文章を見ますから。誤字脱字とか。まさか蚊がコピーされてるなんて思わないです」
 コピーされた蚊を汚れと認識した?
「全く覚えていないんです。折り返し電話が掛かってきて、『蚊みたいなのがついてますよ』って。見たら蚊をコピーしていました。元の書類を見たらまだ蚊が張り付いてました」
 誰かの血とかは?
「ついてなかったです。それならさすがにわかるでしょう」
 先方さんは怒ってました?<> 「普通にもう一度送って欲しいと。あとみんなで回して笑ってたそうです」

 聞きながら手前も大層笑った。


写真解説 05/02/24

 電網世界の整備とともに技術も進歩するのは当然のことで、合成写真など当然のように出廻っているから実際のままを写した写真であっても俄かに信じ難いものであれば「合成だろう」と冷ややかに思うことが多い。

 面白写真を集めたサイトなどでよく見るのは動物をテーマにしてあるもので、当然犬と猫が激しく鍔迫り合いを交わしているが、例えば「鷲に飛びかかろうとしている猫」の写真はよく見る。これなど有り得ない光景であるから飛び立つ鷲と跳躍した猫を合成したものだろうと考えていたが、違った。

 マーティン・ルイスの「ニュースになったネコ」「ニュースになった犬」いずれも翻訳は武者圭子でちくま文庫から出ているが、ここには世界中の犬猫ニュースから秀逸なものを紹介していて写真も結構載せてある。その中に電網上で見た合成と思しき写真がいくつもあった。先の鷲に飛びかかる猫はなんと日本の出来事で、岡山の鳥獣保護区でとある写真家が瀬戸内海では珍しいオジロワシを見つけて興奮していたところ、野良猫がそろそろと近寄り飛び立ったオジロワシ目掛けて一メートルも跳躍した瞬間の合成ではない真実の写真であるという。1986年の出来事というから手前の歳はまだ一桁で新聞の一面に載ったとあっても知るわけがない。

 揃えて伸ばされた後足、ぴんと立ち張っている尻尾、精一杯伸ばし指の一本一本を開いた前足など、拡げた翼の全長が二メートルに達しようかという鷲に飛び掛かる野良猫の雄姿は日本全国のみならず世界中に配信されたという。

 ほかに「シェパードが十数頭並んで座っている前を疾走する猫」もまた合成であろうと信じていたのに、これもまた真実の写真で「警察犬の訓練として行う最終試験」だとのこと、無闇に反応しては失格となるが飛び出して追い掛けようとする警察犬候補生は一匹も居ない。疾走する猫を興味津々に眺めている犬達の間抜け面が非常に微笑ましい。

 もし電網上で見つけると確実に合成と思い込むだろう写真もあった。これは電網上ではまだ見たことがない。今から四・五十年前マルタ島に伝説の猫が居た。彼女はなんと前足でカップを抱えて鎮々し、抱えたカップの中に顔を突っ込んで飲むという高等技術で大人気になったという。その写真はカップの中の恐らく牛乳を飲んでいる所なのだろうが、額まですっぽり突っ込んであるから下半身が強くてバランスがよかったのだろう。

 犬のほうでは「不細工決定戦で優勝した犬」などが掲載されていて「粘土細工でもこれは作れない」と思える程の悲惨な写真があったりする。マーティン・ルイスの二作品は本人が猫派であるせいか「ニュースになったネコ」の方が面白い。




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