心象とは
斬り落とされた首よ 嗚呼首よ 虚空を遠く見渡す
その窪んだ眼窩よ髑髏よ 嗤えや嗤え 歯を鳴らせ
千切れた指よ 嗚呼指よ 風より先指す其の果ては
母艦か母国か母体か 揺れ動く大地のなすがままに
引き摺り出された腸よ 何故窮屈に捻れ絡まるのか
千切られ 千切られ 引き摺り出されて何想うてや
身動きせず横たわる友の体 裏に返すと骸に変わり
今ここに流れるは 血と雨と涙のほかには何もなし
涙を忘れて友を捨て ただひたすら ただ歩むのみ
探せばいい 己の尊厳 這いつくばって目を向けた
其の先には何もなし 今 ここが現世であるほかに
引き摺り出された腸の 喰うや喰わずや 闇の奥底
けものと 己と 違うべき利識の境を踏み越えるや
覚醒せし己 けものなる理に因り来て 切り落とし
千切り 引き摺り出すことのみに 喜びを見い出す
何もない先 見ゆる筈の夢を 想像し渇望し絶望し
けものになれ けものになれ 今見ゆるは己のいる
ただそこだけ 辺りを見渡して 焼ける血脂の海を
友だった骸喰らいて 生き延びるがいい 其の先に
遥か 何一つ見えぬならば そこは己の地獄なのだ